初日
2021年7月某日。私は徳島空港にいました。
何故か今年は四国が全国で一番遅い梅雨明けとなり、どんよりとした徳島の天気は天気の良い東京から来た私のやる気を最初からそいできました。
そして早速四国の洗礼を受けることとなるのです。
地方空港はだいたい飛行機の到着時間に合わせてリムジンバスが運行しています。
ここで、1番霊山寺までの距離を確認してみましょう。
空港から公共交通機関を使って霊山寺に行く場合、一度リムジンバスで徳島に出て電車に乗り坂東駅へ。そしてそこから徒歩7分というのが一般的なルートで、実際私が事前に調べた際もそのルート以外で霊山寺に向かう方は見つかりませんでした。
しかし思いました。
遠回りすぎでは…
しかも徳島の電車は全然来ないんです。
霊山寺までそこまで距離があるわけではないのにめちゃくちゃ時間がかかってしまいます。
空港発のバスに鳴門行きを発見した私は、鳴門を経由して霊山寺に向かうことにしました。
しかも鳴門からバスで向かえば、霊山寺前というまさに寺から目と鼻の先のバス停で下車することができるので、駅から歩く手間もはぶけます。
こういうルートを見つけたときにテンションが上がってしまうおたくです。
空港を出てどんよりとした天気の中、リムジンバスに次々と乗り込む人を横目に、何故か通にでもなったような気分で鳴門行きのバスを待ちます。
リムジンバスと違い鳴門行きのバスは通常の路線バスなので飛行機の時間に合わせているわけではありません。
少し時間があったので、トイレに行ったり空港を散策したりしましたが…
全く来る気配がありません。
車で移動する方はもう全員車で出発し、足がない方もリムジンバスで徳島へ向かったので空港にはもう私しかいません(笑)
空港内のセブンイレブンでさえ、飛行機の発着陸にあわせてのオープンだったのはびっくりしました。
四国は暇つぶしをすることすら許しません。
結局バスが来たのは定刻の15分後でした。
でもいいんです。
結局鳴門で30分の乗り換えだったので…
鳴門駅はとても小さな駅でしたが、足湯があり地元のおじいちゃんたちがお酒片手にお話ししてるような、そんな駅でした。
(何もありませんでした)
Pの大きな看板が見えた時は、あぁここがあのテレビで見ていた場所だとテンションがあがったものの、このご時世大勢のお仲間が…ということもなく、寺には静かな空気が流れていました。
まずはこちらでビシッと。
1番!霊山寺!
ホラーな一休さんを発見。
お守りを購入し、これから始まる過酷な旅の安全をお祈りします。
時刻は16時をまわったところ。
納経所が閉まる前に、歩いて15分ほどの2番札所まで行けそうです。
2番札所極楽寺へ歩いていると、早くも足に違和感を覚えました。
今回のために登山靴を購入した私。
かっこいいからという理由でハイカットのものを選びました。
しかし普段登山などしない私は何も考えずにくるぶしソックスをはいて出発。
実は飛行機の中で既に足首に靴ずれをつくり、CAさんにばんそこうをいただくという事態に…
そのばんそこうが擦れてめくれてしまってきたことにより、まだ全く歩いていないというのに変な歩き方をしながら極楽寺に到着。
近くのセブンイレブンでさっそくばんそこうを購入し本日の宿にはいります。
初日は2寺巡ったところで終了。
霊山寺すぐ隣の大鳥居苑さんにお世話になりました。
お遍路中の宿選びですが、立地と金額はもちろんですが風呂で足を伸ばせるかというのもかなり重視して選びました。
こちらの宿は部屋に浸かれるタイプ(ユニットバスじゃないタイプ)のお風呂があったので初日からゆっくりすることができました。
2日目
いよいよ今日から本格的にお遍路がスタート!
とはいえ今日は3〜7番までを巡るというゆっくりペースなので、朝も10時スタートです。
しかし普段早起きな私。
暇になりバスの時間も1時間間違えたりして霊山寺売店前のベンチでぼーっとしておりました。
すると目の前で突如始まったもぐもぐタイム。
テンションがあがる猫好きなわたし。
お寺の方がねこちゃんに餌付けをしてるそうです。
このあと色々とお話しをしてくれたのですが、私が昨日見つけることができなかった霊山寺内の水曜どうでしょうの聖地?場所について伺ったところ、真面目なお遍路さんではないとバレたためかどこかに行ってしまわれました…かなしい。
さて、時間になったので移動します。
書いた通り3番札所まではバス移動です。
バス停からは徒歩15分ほど。
3番 金泉寺!
7番まではバスで楽々行ける寺が続きます。
徒歩20分で到着。
かつて餅まき(?)で大盛況だった境内には誰もおらず、静かな寺でした。
ゆーてお仲間にほぼ出会わなかった今回、どの寺も静かだったんですが。
羅漢から東原で下車。徒歩10分で安楽寺。
このあたりからかなり疲労がでてきました。
全然歩いてないじゃないかって?
たしかに距離はないんですが重い荷物を背負っているのともうひとつ…
日差しです。
荷物が多くなると移動が大変になるので、最小限の荷物でやってきました。
日傘なんか持ってこれるはずもなく。
そして来てみてわかったことなんですが。
四国には日陰がありません。
田んぼの中等を歩くので日を遮るものがないんです。
住宅があったとしても、都会のように門のすぐよこに家があるわけではなく、庭の奥に家があったりして道まで日陰が届かないんですね。
まさに今日、全国で最後に梅雨明けした四国は快晴でした。
炎天下の中歩くことがこんなにしんどいなんて思ってませんでした。
さて、本日最後の寺十楽寺までは徒歩15分。
この15分がきつかった…
7番 十楽寺!
本日はここで打ち止めですが、それには理由があります。
次の8番〜11番までの交通手段がないからです。
ここからは完全徒歩になります。
時刻は14時半。
次の8番までは4km。1時間もあれば着くでしょう。
17時までには十分間に合う時間です。
でももう歩きたくねえ!!!
こうなることはなんとなく予想していたので、本日の宿は送迎付きを条件に探しました。
鴨島駅近くのゲストハウスにお世話になることにしました。
送迎は16時から。まだかなり時間があります。
朝から何も食べていなかった私。十楽寺前のうどん屋さんでごはんを食べる予定だったのですが…
理由はわかりませんが閉まってました。
これから幾度となく食料難民となるのですが、この時初めてその洗礼を受けました。
まわりにコンビニ等もなく、Googleマップも何も引っかからない。
寺の人に聞いても2㎞先に…ってもう歩きたくないので諦めることにしました。ぴえん。
1時間ほど寺のベンチで休憩して、宿へ送っていただきました。
今回のゲストハウスを予約した理由はもうひとつあります。
レンタサイクルがあることです。
何故か自転車に乗りさえすればどんな距離でも苦を感じない私。バスがないなら自転車に乗ればいいじゃない!🥖ということで、明日の8〜11は自転車で回ることにしました。
宿の近くの定食屋さんでこの日はじめてのまともなごはんを食べて、早めに就寝しました。
3日目
忘れつつありますが、今回のお遍路は聖地巡りも兼ねてます。
四国といえば…うどんです。
彼らは道中で何軒ものうどん屋に立ち寄ってます。
できるだけ私もそれを拾っていくつもりで、今日は初めてうどん屋に行く予定をいれていました。
10番切幡寺近くの、八幡さんです。
ここは四国2の後訪れており、未確認ですが恐らく1でも寄っていると推測しました。
順当にいけば今日は8番からスタートですが、うどん屋の開店に合わせるため11番からスタートし、その後は8から順当に回って最後に10番さんへと参拝する作戦です。
今日はよろしくね。
ゲストハウスのおじさん「サドルが壊れててねぇ…動かせないの、ごめんね。」
えっ…!!!
乗るとちょっと低かったけど、我慢はできるくらいなので…
借りれるだけありがたいのでこんなこと言っちゃダメなんですが、それで800円取るのはたk…
気を取り直して寺をまわります。
10番 藤井寺
8番 熊谷寺
熊谷寺へは、吉野川を越えた後ゆる〜い坂道を永遠と登っていくのですが、記載した通りサドルの高さが合わないもんでうまく踏ん張れず、なかなかきつかった…
9番 法輪寺。
大泉さんがついてた鐘は残念ながら工事中。
法輪寺は境内も美しく、なんとなーくあたたかい雰囲気のお寺でした。
10番は山の上にあり、山門まで短い急坂を登った後、さらにそこから333段の階段を登る必要があります。
これもなかなかにしんどかった…
参拝し終わり自転車へ戻ると、借りたマウンテンバイクをじろじろ見ている自転車遍路のおじさんがいました。
2,3こ前の寺から一緒だった気がしますが、やはり同じように遍路を巡る人のことが気になるのでしょう。
しかしわたしは今日たまたまそのマウンテンバイクを借りただけなんだ、すまんな…
私の格好があまりに普段着のためか、結局おじさんから話しかけられることはありませんでした。
さていよいよ楽しみにしていた八幡さんです。
あんなに大変だった急坂も、自転車で降りると一瞬。スイスイ進んでいくと…
本日休業
またですか………
しょうがないので宿に自転車を返却し、次の12番焼山寺へ向かうことにしました。
マウンテンバイク、普段乗らないので全部がそうかはわからないのですが、おしりがランブータン状態でそれもかなりしんどかったです。
12番焼山寺。ご存知の方も多いと思いますが、四国一の難所で遍路転がしと呼ばれています。
公共交通機関の場合は焼山寺バス停まで行って、そこから登山で1時間です。
しかしこの道、水曜どうでしょうをご覧になったことある方はわかると思いますが、めちゃくちゃ怖いです。
もののけの類について来られるのだけは怖かったので、文明の利器タクシーを召喚することにしました。
先程焼山寺バス停から徒歩と書きましたが、このバス地元の神山町が運営するバスでかなり本数が少なく、いい時間のバスがありませんでした。
そこで私は徳島から神山高校前行きのバスに乗り、終点からタクシーをお願いすることにしました。
鴨島駅からJRで徳島駅に出て、バスに乗る前にタクシー会社に連絡をいれます。
バスがついた時にすぐ後ろに来ていただいていて大変助かりました。
神山高校前から焼山寺までは2500円ほどで送っていただきました。
遍路転がしを2500円でパスできるならこれ大正解🌞かと思います。
この日の宿は焼山寺を下ったところにある神山温泉さん。
せめて下りだけでも歩くことに。
まあしかし下りもかなりきつかったですね。
振り返ると…
まっくら。
近道らしい遍路道もありましたが怖かったのでひたすら車道を下ります。
神山高校前バス停まで2時間くらい歩いたでしょうか。
その間追い抜かされた車は10台ほど。
なんで乗せてくれないんだとその度に思ってしまう煩悩の塊の私。
木に囲まれた静寂の中をひたすら歩いて、途中突然鳴った社用携帯なんかにビビり倒しながら、なんとかバス停に到着。
神山温泉まで乗車。
この日は1日乗車券を購入してバスに乗りました。
バスに乗った、というか徳島から神山高校前のバスの中でオンラインで購入しました。
本当にタイミングが良かったのですが、私が四国に行く数日前に始まったこのサービス。
以前はわざわざ営業所に赴いて紙の乗車券の購入が必要でした。
営業所にわざわざ寄ったりできなかったのでどうしようか考えていたところ、オンライン発売がスタート!
何回か延期しての今回の遍路でしたが、延期して良かったこともありました。
さて、この日の夜ですが、冷房を26度設定にしても暑くてなかなか眠れず、部屋に一人で泊まっているとは思えない暑さでした。
ちなみに私は寒がりなので、いつもは29〜30度設定です。
隣の部屋の音も気になったりで1,2時間しか眠れませんでした。
普段500歩くらいしか歩かないのにいきなり2万歩、自転車も20㎞ほどこいで疲労もたまってきてるのに寝れない。
気持ち悪くすらなってきて、メンタルもかなりやられました。
朝。宿を出る時に気付いたのですが。
隣に部屋はなく吹き抜けでした。
( ◠‿◠ )
やっぱり焼山寺は怖いです。
つづく。